刺しゅうのお道具

刺繍のお道具 刺しゅう枠の選び方

パントン久美子

刺しゅう枠って意外といろんな種類があります。この記事では、刺しゅう枠の種類や、技法に合った刺しゅう枠の選び方、初めて刺しゅう枠を買う方におすすめのファースト刺しゅう枠などをご紹介します!

刺しゅう枠はなぜ使うの?必ず使うの?

刺しゅう枠をするときは、刺しゅう枠をはめることが多いです。布を張った状態でないときれいにステッチができないですし、布に写した図案もよく見えません。フランス刺しゅうで使うようなステッチ、例えばチェーンステッチ、アウトラインステッチ、バックステッチ、サテンステッチなど、平面に広く刺していくような場合はほぼ必ず刺しゅう枠を使います。

刺しゅう枠を使わない場合もあります。たとえば、ヘデボのカットワークの土台のボタンホールステッチを刺すときや、中のかがり模様を刺すとき。刺しゅう枠を使っている人もいますが、使わないほうが布の根元を持ってステッチができるので、私は刺しゅう枠を使いません。あと、縁にかがり模様を刺すとき。ヘデボのスカラップなどを、布の縁に刺すときは枠なしのほうが刺しやすいです。

こういう感じで、ステッチをする場所に近いところを持った方が刺しやすい場合は刺しゅう枠はつけません!

刺しゅう枠を使わないのは、刺しゅうをする部分の根元というか布の部分を持ったほうが刺しやすいステッチのときです。それ以外は、通常は刺しゅう枠を使います。

刺しゅう枠の種類

刺しゅう枠の形と大きさの種類

刺しゅう枠の一般的な形は円で、8cm〜30cmくらいまでのサイズ展開があります。

メーカーによって微妙に大きさが違いますが、8cm、10〜12cm、15cm、18cm、20cm、25cmなど、いくつかのサイズがあり、作るもののサイズに合わせて刺しゅう枠を選びます。

サイズいろいろ

楕円形のものも比較的よく見ます。横に刺していくようなステッチ、例えばドロンワークなどは楕円形でも使いやすいかと思います。

刺しゅう枠の素材

昔は木枠でしたら、今はプラスティックのものやアクリルのものなどいろんな種類があります。木は湿気のせいなのか、私の使い方が悪いのか、少し枠に亀裂が入ってしまうこともあるのですが、私は木枠が一番しっくりきます。

プラスティック製のものは、使ったことがないのですが、海外の先生に習うと比較的プラスティックの枠を使っている人が多いイメージ。

プラスティックというかビニル素材みたいな感じで、布が滑りにくいという利点はあるのかもしれませんが、私はあまりプラスティックのものを使って白糸刺しゅうを刺したくない(気分が上がらない)のと、プラスティックの色があまりにビビッドすぎて敬遠しています。

何年か前からメガネフレームで有名な鯖江とDMCがコラボをして刺しゅう枠を作っています。こちらはキラキラしていてかわいいので、お気に入りです。

2つしか持ってない。

「映える」しかわいいので使っていて気分も上がるのですが、15cmの枠なので重いの…なので、インスタに写真をあげるときとか、雨で気分が落ち気味の日などに使っています。刺しゅうは仕事でもあり一番の趣味でもあるので、やはりお気に入りのお道具に囲まれていることは私にとってすごく大事なので、いつも近くには置いています♡

刺しゅう枠の選び方!一番最初に買うべきサイズ。

これから刺しゅうを始めようという方であれば、10~12cmの刺しゅう枠をまずは購入してみてください。

15cmでもいいのですが、長い時間刺しゅうをすると重くて疲れてしまうのと、手のひらに収まるくらいのサイズのほうがどんなステッチにも使いやすいと思うのです。白糸刺しゅうではあまり玉止めは使わないのだけど、玉止めもしにくいし、バリオンステッチとかフレンチナッツやピコットなどの両手を使うようなステッチは大きな刺しゅう枠だと刺しにくいです。

もし最初から大きな作品で、同じステッチが繰り返しあるようなデザインのものを刺すのであれば15cmでもいいかも。

ステッチを丁寧に刺す以前に刺しゅう枠をきちんとはめたり、図案をきれいに正確に布にトレースしたり、いろんなことが合わさった結果としてきれいなステッチが刺せるので、自分の手の大きさに合った、刺しゅうが刺しやすい枠を使うことも大事な要素になります。

メーカー選びは大事?

100円ショップでも刺しゅうのお道具は売っていますが、やはり長く使えるものを購入したいし、クロバーさんのように手芸用品を頑張って作ってくださっている企業を応援したいという気持ちもあって、私はクロバーさんのものを使うことが多いです。

刺しゅう枠って刺しゅうをしているうちに緩んできてしまうので、ネジの部分がしっかりしているものを使ったほうがいいです。となると、やはり100円ショップやよくわからないメーカーのものより、クロバーさんなど大手のものの方が安心というのもあります。

100円でも安いほうがいい!って方は、楽天などで安いメーカーのものを探せば見つかると思います〜。レビューなどを参考に選んでもいいかもしれません!

ということで、このクロバーの12cmの刺しゅう枠がファースト刺しゅう枠には良いかなと思います。

刺しゅう枠に布を巻いたほうがいいの?

巻いたほうがいいです。木だとつるつる滑って、すぐに布がたわんできてしまいます。

私は内側の輪の方に布を巻きますが、内側にも外側にも巻いている方もいますよね。この辺は好みもあるので、お好きなように巻いていただいてOKかと思います。

巻く布はリバティとかかわいい布のほうが見た目はかわいいのですが、私は包帯がおすすめ。微妙にざらざらしている布のほうが滑り止めの役目をしっかり果たしてくれます。これはむかーし、パリでブティを習っていたときに先生に教えてもらいました。

普通にグルグルと少し重なるくらいで巻いて、両面テープで止めるだけです。

刺しゅうの上に刺しゅう枠をはめても大丈夫なの?

心配になる気持ち、すごくわかりますが全然大丈夫です。

私は大雑把なので、刺しゅうの上に普通に刺しゅう枠をはめています😱サテンステッチとか繊細な刺しゅうの上に枠をはめるときは、オーガンジーや薄めの布を刺しゅうの上にかけて、その上に刺しゅう枠をはめます。

ちょっと見にくいのですが、オーガンジーで刺しゅうを守ってます。こうすると、直接刺しゅうに枠が当たりません。

あと、刺しゅう枠をはめるときに、外の枠のネジを一旦緩めてから、布を置いて枠をはめます。ネジを緩ませないままガシーっとはめてしまうと強い摩擦が発生しちゃうので、ネジを緩めずに力任せに枠をはめるのはNGです。

刺しゅうも布も、普通のコットンや刺しゅうリネンに刺す場合はそんなにデリケートなものではないので、気にしすぎなくて大丈夫です。「あ!!」って思うようなところも、お洗濯をしてアイロンで仕上げると意外ときれいになっているので、大丈夫。気にせずどんどん刺してくださいね〜。

あと大事なのは、刺しゅう枠の着脱により、布に書いた図案が薄れていってしまうことがありますので、消えてしまったらその上から水で消えるチャコペンなどで図案を書き足してくださいね。図案がよく見えないとどこを刺したらいいかわからず、結果、きれいに仕上がらないということがあります。

スタンド型の刺しゅう枠もお勧め

スタンド型の刺しゅう枠もオススメです。刺しゅう枠を持たなくていいので、疲れない!サテンステッチなどは、針を垂直に出し入れしてあげたほうがきれいな場合がほとんどなので、スタンド式のほうがきれいに刺せることもあります。

フランスのプリュムティという刺しゅうは必ずスタンド式の刺しゅう枠を使います。慣れると両手が使えるほうが便利かも。

これ↑は下の木の板を太ももの下にいれて(木の板の上に座る)使うタイプのものです。プリュムティをパリで習っていたときに購入したもので、10年選手!当時のフランスではこのタイプのしかなくて、仕方なくこれを買ったんだけど、使い勝手が悪くてほぼ使ってないです。刺しゅう枠とスタンドが一体化しているので、25cmというだいぶ大きな枠にはまるものしか作れないです。

こちらの方が便利です。トルコのNurge社のもの。これは、スタンドと枠が別になっているもので、刺しゅう枠は手持ちのものを使えるバージョン。角度も自分のあった角度に調整できます。こんな感じで、刺しゅう枠のネジの部分にスタンドをかませて使ってます。

大きなものを作るときって私はあまりないのですがw、布と刺しゅう枠をずーっと持ってるとそれだけでも疲れちゃうので、スタンド式のほうが身体的負荷が低めかも。あと両手が使えるのも楽。

なんだけど!

私はなぜかあまりスタンドを使わないんですよね〜。なんででしょう。面倒だからかな。あれば便利なことは確実なので、持っていても良いアイテムではあります。

Nurgeのスタンドは私はEtsyで安く購入しました。今は円安なので日本で買うのが最安値かもしれませんね。リネンバードさんでお取り扱いがあります。私と同じ卓上スタンドは2023年10月現在、売り切れみたいです。

まとめ

ということで、今日は刺しゅう枠について書いてみました。

お道具を揃えていくのも、楽しみのひとつ。

かわいい手芸屋さんがあるとのぞいては、何かかわいいお道具を探してしまう私です。

海外だとだいたいクロバーのもので2倍くらいの値段で売られていることが多いのですが😅私の住むコペンハーゲンでも、手芸用品はクロバーが主流になっています。針はチューリップのものが普通い売られていますし、日本製というのはまだ多くの人にとって安心なのでしょうね。

ABOUT ME
パントン久美子
パントン久美子
デンマーク在住 白糸刺繍家
2009年スカルス手工芸学校に留学しヘデボを学ぶ。2012年〜2017年まではパリ在住。ルサージュやフランスの白糸刺繍教室で刺繍を学ぶ。現在はコペンハーゲン在住。
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