刺しゅうのお道具

刺繍のお道具 白糸刺しゅうにオススメのチャコペーパー

パントン久美子

刺しゅうの図案を布に写すときに必要なチャコペーパー。いざ用意しようと思うといろんなメーカーからいろんな種類が出ていて悩んでしまうこともあるかもしれません。

フランス刺しゅうの図案を布に写すときは、私はカーボン紙を使ったり、色のついたちゃんこペーパーを使います。フランス刺しゅうを刺す布の色に合わせてチャコペーパーの色を選びます。例えば、黒や紺色など濃い色の布に図案を写すときは白のチャコペーパーを使いますし、細かな図案でしっかり布にトレースしたいときはカーボン紙も使います。

用途に分けてチャコペーパーを使い分けると、仕上がりがより美しくなります!今日は白糸刺しゅうを刺すときにおすすめのチャコペーパーをご紹介します。

これ一択!白糸刺しゅうにはオススメのチャコペーパー

最初から結論になりますが、スーパーチャコペーパーのグレー一択です。私はほんとにこれしか使ってないです。

スーパーチャコペーパーをお勧めする一番の理由は、色です。白糸刺しゅうは白い布に白い糸で刺すのが一般的ですが、刺しゅうが終わって仕上げをするときに、チャコペーパーでのせた下絵が消えない可能性もゼロではないのです。もし下絵が消えなかった場合、赤とか青とか緑とかが白い作品に残るとすごく目立ちます。グレーであれば、万が一、下絵が落ちなかったとしても無彩色なのでそこまで悪目立ちはしないのです。

チャコペーパーには、赤、青、緑、黄色、白など色がありますが、やはり下絵が落ちなかった場合を想定して、色を選び必要があると思います。刺しゅうを刺す布や刺しゅう糸の色を見て、どのチャコペーパーの色なら悪目立ちしないかを考えてから使うと良いです。

2つ目の理由。洗って落ちなかったことがほぼないのです。物によっては滲んでしまったり、完全に消えなかったりしますが、このチャコペーパーは安心して使えます。

必ず洗って下絵を消すには、少しテクニックも必要です。これはあとの方に書きますね!

チャコペーパーは100円ショップでも売っているようですが、本当に水洗いで落ちるかわからないし、せっかく刺しゅうがきれいに仕上がっても下絵が落ちなくて焦る!こともあるので、大手のメーカーのものを買うのが安心です。

ちょっと余談ですが、チャコペーパーって会社の名前なんですよね。チャコペーパーという名詞ではなく、チャコペーパー株式会社が作るチャコペーパーがチャコペーパーというものになります。(説明下手)

クロバーさんが出しているものはチャコピーです。

チャコペーパー株式会社の創業者の方が、洋裁をするときに発明したそうです。以下、チャコペーパー株式会社の会社概要を引用します。

953年、松井淑(まつい よし)が、洋裁・和裁で面倒な「糸印」を
簡略化しようとして考案。それまで3時間もかかっていた印つけを
たったの3分で正確にできるようにしたのがチャコペーパーのはじまりです。

それから約50年。いまではその便利さが広く認められ、デザイナー、
パターンナーなどのプロから家庭の洋裁まで、広く世界で愛用されています。

チャコペーパー株式会社 会社概要より

チャコペーパーの使い方

一番下に布、チャコペーパー(色のついた方が下に来るように置く)、トレーシングペーパー、写した図案、透明のフィルムの順番に置きます。

大きな図案を写すときは、図案が動かないようにマスキングテープなどで固定してくださいね。

一番上の透明のフィルムは、お買い物したときなどについてくる透明の袋などで大丈夫です。この透明のフィルムがないとトレーシングペーパーとチャコペーパーが破れてしまうし、トレーサーの滑りが悪くて布にしっかりとチャコがのりません。

写すときは、トレーサーを使います。画像の赤いやつ。ボールペンのインクが入ってないペンみたいなものです。でなくなったボールペンでも代用できますが、トレーサーはボールペンより先が尖っているのでトレーサーを使うのがお勧め。

たまにしか刺しゅうをしないのであれば「代用品」でもいいですが、趣味として長く刺しゅうを楽しんでいこうと思っている方は、数百円で購入できますのでトレーサーを使うことをお勧めします。先が尖ったトレーサーの方が細かい部分まで描けますよ!

きれいな刺しゅうの作品を刺すには、しっかりと布に図案を載せることが一番大事と言っても過言ではないくらい大事です!布に図案がのってないとどこを刺しゅうしていいかわからないので、細い線でしっかりと図案を布をのせます。針って細いので、図案も細い線の方がいいです。

手がめちゃくちゃ疲れるのですが、しっかり力を入れて図案をなぞりましょう。このとき、チャコペーパーやトレーシングペーパーが破れるようであれば力を入れすぎています。

図案をなぞり終わって布を見たときに、もし図案の線が途切れていたり薄い部分があるときは、チャコペンで書き足します。刺しゅう枠で擦れて図案が薄くなることもあるので、とにかく図案が薄くなった場所はチャコペンでしっかり書き足してから刺しゅうをします。

チャコペーパーが落ちない時の対処法

刺しゅうが終わって「わーい!仕上げをして完成だ!」と思って洗っても、下絵が落ちない時があります。そういうときは、薄い洗剤液で洗ってみる、食器用の洗剤で洗ってみる、それでもダメならうすーい漂白剤につけてみてください。

歯ブラシなどでゴシゴシしないでくださいね。刺しゅう糸がボサボサになります。

あくまでつけ洗いが基本です。

それでもダメなら、チャコペーパーの製造元に問い合わせてもいいかもしれません。どんな布(コットン?麻?綿麻?)で、どんなことを試したけど落ちないので他に落とし方があれば教えてください、とお問い合わせを出すと大体はお返事がもらえます。

やっぱりね、落ちないこともあるんですよ。なので、初めて使う布のときは、端っこの方でチャコペーパーをのせてみて、落ちるかどうか試してみると良いです。人にプレゼントしようと思っていた物など、やり直しがきかないものなどであれば、試してみた方がいいでしょう。

水洗いで落ちるように刺しゅうをするのも大事

刺しゅう用のリネンなどでチャコペーパーが落ちない場合の多くが、チャコペーパーの線の上にギッチギチに刺しゅうをしてしまったというケースです。プリュムティのような芯入りのサテンステッチとかすごい細かいアウトラインステッチとか。

私はできるだけ下絵の0.001ミリくらい外側に針を出し入れして、図案の真上にギッチギチにステッチが入らないようにしています。必ずしも常にそうしているわけじゃないけど、少なくてもそう意識をしています。

図案が落ちなかったことがある方で、もしステッチの下や中に入り込んだチャコが取れないみたいなケースに遭遇したことがある方は、図案のきもーち外側で針を出し入れすると良いと思います!難しいけどね…

目の粗い布に図案を写す時の便利アイテム

目の詰まった布にはチャコペーパーでもしっかり図案がのるのですが、目が粗い布だとチャコペーパーがしっかりのりません。

目安として32カウントより目の粗い布に図案を写すときはトレース台が便利です。私が使っているのはこれ1600円もしないし、薄くて場所も取らない、電源はUSBから取れる、というめちゃ便利なアイテムです。

シュバルムを刺すときはほぼこのトレース台を使って図案をトレースしています。このトレース台は漫画家の人の使うお道具なのですが、お値段がピンキリ。でも高価なものはまったく必要ないです。この1600円ので十分!

トレーシングペーパーに図案を写してから、布に写すって結構面倒な作業なんですよね。手が疲れちゃうし、2回も同じ図案描かなきゃいけないし。なので、もうチャコペーパーとか使わないでトレース台だけでもいいかも(笑)トレース台はA4より少し小さいサイズなので、A4より大きな図案の場合はチャコペーパーで写すのが良いですが。

ライトは3段間に調整できます。一番明るいライトだと、布を置いても問題なくしっかり図案が見えます。トレーシングペーパーに写した図案を使うときは、しっかり目の筆圧でトレペに写したほうがいいです。

おまけ:フランス刺しゅうにおすすめのチャコペーパー

フランス刺しゅうを刺すときはカーボン紙がいいと思います。水洗いでは落ちないので、色のついた刺しゅう糸を使う場合に限ります。

カーボン紙で図案を写した場合は、かならず図案の上にステッチをして、面を埋めるようなステッチの場合は輪郭を少し大きめにとるなどして、下絵をステッチで完全かバーするくらいの気持ちで刺すと良いです。

チャコペーパーよりカーボン紙の方が繊細なラインが出せるので、少し複雑な図案のときはカーボン紙がお勧めです。水洗いでは落ちないので、カーボン紙を使う場合は個人の責任でお願いいたします🙏

ABOUT ME
パントン久美子
パントン久美子
デンマーク在住 白糸刺繍家
2009年スカルス手工芸学校に留学しヘデボを学ぶ。2012年〜2017年まではパリ在住。ルサージュやフランスの白糸刺繍教室で刺繍を学ぶ。現在はコペンハーゲン在住。
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